悪霊島(上)

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金田一シリーズの作中幾度も名前が出てくる「獄門島」が気になりつつ、手近に見当たらないので似た名前の『悪霊島』を。

結構謎だった磯川警部のあれやこれやが明らかに。
冒頭でやたらと詳しく磯川警部の過去を掘り下げるな〜ファンサービスなんだろうかって思っていたら、下巻の前振りだったのね。

真帆・方帆の双子の巫女さん(勿論美少女)は、もうその存在だけで堪りませんね。
二人が並んでいる姿を想像するだけで幸せです。
なんでもみてやろう君こと三津木五郎くんでなくとも日々通ってしまいたい。
美少女で双子の巫女さんが妹、というのはさぞや楽しかろうな。思い込みにしてもね。

そんな訳でイラストは真帆・片帆。
久しぶりに女の子が描けて満足。
阿仁さんおっさんにどっぷり浸かりすぎて無理のある感じになるのはご愛嬌。
背景は以前作って結局使い道のない自作篭目シームレステクスチャ風味をお蔵だし。
<<横溝正史 『悪霊島(上)』 角川書店 1981>>

幽霊座

やっぱり金田一シリーズは堪らん。
探偵小説って話自体が続いているわけではないのに、シリーズモノばかり読むなと思っていたら、アレですよ。
被害者だの被疑者だの発見者だの事件の関係者を把握するのが大変だからなんですね。
シリーズモノだと探偵(助手がいる場合もあるね)や警察関係者なんかのキャラクタを把握する労力を事件を愉しむ分に割り当てられるからついついそっちを選ぶんだね。
で、レギュラーか準レギュラーが気に入ったものをついつい読んでしまうと。
巧く出来てるものですね〜
『夜歩く』を読みながら、そんなことを考えてました。
金田一シリーズなのですが、初登場のキャラクタ目線でなかなか金田一が出てこないときに。
あ、『夜歩く』の時に書けばよかったですね、コレ。
書いちゃったからまぁいいや。

肝心の『幽霊座』のほうは表題作をはじめとする短編が三つ。

「幽霊座」
耕介は意外なことに梨園の住人とも交友のあることが判明する一遍。
トリックとはさして関係がないけれども、よく似た親子が・・・
ダイイングメッセージに使われた八犬伝の信乃、数年前に途中で挫折してどんなキャラクタだったかすっかり忘れてたので何のヒントにもならなかったのが切ない。
八犬伝リベンジしようかな〜
後半は一般教養科目でとった社会学の講義でちょろっとでてきた犯罪学の起こりを思い出しました。
ロンブローゾとかクレッチマーとかそんなアタリの人名を胡乱に。
犯罪者は遺伝的に云々といったのは前者でしたっけ?

「鴉」
磯川警部と温泉旅行。
骨休めに岡山に行ったのに、磯川警部に担がれて結局お仕事。

「トランプ台上の首」
例によって(トリックバレしそうなので自主規制)ネタ
警察が気付かなかった遺留品に気がついたりするカッコいい金田一がみられる。
金田一に引っ掻き回されて目くじらを立てる菅井警部補がいい感じです。
天然を装いつつ突っかかられた腹イセをする金田一の猫っぽさが堪りません。

<<横溝正史『幽霊座』角川書店 1973>>

お江戸風流さんぽ道

ここ数日滅多にないほど気忙しかったので、ちょこっとした合間に気晴らしになるものをと読んでました。
先日読んだ『一日江戸人』が気楽に読めたので、同じ作者の『お江戸風流さんぽ道』。
『一日江戸人』は見開き半ページはイラストだったのだけれど、コチラはみっしりと文字で。
でもやっぱり気楽に読める。

『一日江戸人』では味噌汁と御御御付の江戸的区別にへーっと感心してしまいましたが、今回のはさらに凄い。
「小股の切れ上がったイイ女」の「小股」って何処だ?というのを解説してます。
杉浦日向子の師匠と周辺の人々の解釈なのだそうですが。

「愛」と「恋」と「情」と「色」の違い、というのもわかり易い。
倶舎倶舎していない所がいい。

じつはタイトルに「さんぽ道」とあったので、江戸の名所旧跡だのその跡地だのを巡るさんぽガイドだと思って読み始めてました…。
江戸の移動は徒歩が基本ということで、距離感を足で掴んでみたいなと前々から思ってましてどうせなら面白そうな道でとコースを考えてみようかと思ったのですが、そういう本ではなかった。
気楽に読めそうなものは先に目次を読まないという癖があります。
年の頭ぐらいから、友人と置いてけ堀跡地に行くついでに深川・本所の辺りを歩こうかと言っていて、いまだに実現してません。

そういえば、ずっと以前どこかの藩士の日記を元に彼の江戸見物のコースを辿ってみるというテレビ番組をやっていたの思い出しました。
関連本があったら読んでみたいと思うのですが、何藩の誰だったかとか日記の呼称とかどの局で何年ごろに放映されたかとかちっとも思い出せません。

<<杉浦日向子 『お江戸風流さんぽ道』 小学館 2005>>

花も実もある話―おばあさんのミニ農園―

植物好きが高じて富士山麓と伊豆に畑を作ってしまったご婦人の土いじりエッセイ。
植物に纏わる思い出や栽培時のエピソードを品のいい日本語で綴る。

えっ?こんな単語に“お”をつけるのと思うような事がしばしば。
でも、昨今よく目にする似非マダムの威圧的で下品な悪臭がないので、読み心地がいい。
丁寧だけれど慇懃無礼な感じがしない。
取ってつけたようなとか、背伸びしたような必死さのない上品さ、というのは話すにしても書くにしても一朝一夕で身に付くものではないなと。
こういうのを育ちがいいというんだろうな。
上品さと茶目っ気に溢れている。

取ってつけたような感じがしないといえば、所々に現れる成分の話。
この手の本に香り成分の物質名とか植物ホルモンの名前とかが出てくると字数稼ぎにどこかからひっぱて来たな〜という印象を受けることが多いのだけれど、長ったらしいカタカナがつらつら並んでいてもこの本はなんだかとっても自然な感じがする。世間話の延長線上にややこしい名前の香り成分だの毒だの。

しょっちゅう清水の舞台から飛び降りては珍しい様々な種苗を求めたり(今ではその辺のホームセンターで安価に売っているものが殆どでその辺も驚き)、面白そうな果物を食べたら大抵種を播いてみたり。
幾度盗難にあっても富士山麓の畑に奇麗な花を植えてみたりと、チャレンジャー。
(同じ場所で幾度も幾度も盗難に遭うのは同一犯なのではと思う)
アボガドやドリアンの種を蒔くとうまくやれば芽が出て観葉植物として楽しめるらしいですよ。
やってみたいな〜

化学肥料との出会いが、父親が作ってくれて与えたらむくむく大きくなったので化学肥料が大好きにというほのぼのエピソード。
化学肥料でここまで和めるとは思わなかった。

<<西川勢津子『花も実もある話―おばあさんのミニ農園―』東京新聞出版局 1985>>

一日江戸人

図解お気楽江戸時代ガイド。
江戸っ子寄り目線で江戸気分を満喫できる一冊。

折角胡乱な江戸時代に興味を持ったのだから『コメディーお江戸でござる』の杉浦日向子先生(そう番組中で呼ばれていたので敬称をつけてみる)の本を読んでみようと手にとって、カバーの折り返しをみてショックを受けました。お亡くなりになっていたのですね・・・

作者の描いたマンガチックなイラストが添えられているのを見て、絵が巧いな〜と思っていたら、デビューは漫画家だったのですね。勝手に大学で歴史を研究しているか歴史関係の著述業が本業の方だと思っていました。

料理関係の本と言う訳ではないのですが食に関する記述が何箇所かあって、ちょこちょこっと書かれているだけなのに大体の作り方と味の見当がつくのは先に読んだ『江戸美味い物帖』とは違うなと思いました。
多分、実際に作ったことがあるのだろうなと。

<<杉浦日向子『一日江戸人』新潮社 2005>>


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