続巷説百物語


08’5冊目は、粋でイナセなおぎん姐さん目当てで『続巷説百物語』。ハードカバーで読んだので手首が痛くなりました。

巷説百物語 (角川文庫)とは変わって、今回はずっと百介視点。
手品を観客側から見るのではなく、舞台袖(でも観客席にいる場合もある)から見る感じ。
一冊を通じて視点が飛ばないので前作よりスイスイ読める。
視点が一定で安心して読めるのと、仕掛けられた側の視点がないのとで、読んでいて心細いような、“アレ背中にに妖怪の気配が…”的なじっとりしたドキドキ感は前作より薄め。

百介視点になるとやたらと御行がカッコいい。
又市は『嗤う伊右衛門』をはじめに読んだので、青い時代のどろっと欝なママンと再会事件だったり、後手に回ってしまいました事件だったりが印象に残っているので、あそこまで全力で信頼していたり憬れていたり大好きだったりするとちょっとこそばゆい感じが。
おぎん姐さんがかなりなキーパーソンなのに、又市ばかりにライトがあたる。レフ版もきっとみんな又市に向いていて、女優ライトもついているに違いない。
のほのほんとした語り口にいつの間にかこっちも百介寄りになってゆくんですが…
ボズウェル効果恐るべし。

おぎんさんと又市の兄妹っつぽい関係がいいなと。
又市に甘えてじゃれつく(というか噛み付く)おぎんさんは特に可愛らしい。

治平さんと小右衛門さんに島蔵さんまで加わって、燻し銀な魅力満載。
爺キャラ好きには堪りません。

そんな素敵キャラ満載なのに、気がつくと又市カッコいいとか思いかけた矢先のラスト。
切ないよ、切な過ぎるよ。
なにさそれ。
直前の小右衛門さんとご家老の渋エピソードを掻っ攫う勢いで切ないラスト三ページ。
こうして人はニジの世界へ飛び立ってゆくんだね、としみじみ。
真剣にニジの世界に足を踏み入れようか迷いました。
<<京極夏彦 『続巷説百物語 (文芸シリーズ)』角川書店 2001>>

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