オルメードの騎士
08’三冊目は17世紀スペインの戯曲。
騎士アロンソはメディーナのドン・ペドロの娘イネースに一目惚れ、魔女ファビアに取り持ち役を頼む。イネースもアロンソを好いているが、彼女には以前からしつこく言い寄ってくる自意識過剰男ロドリーゴが付きまとっていた。
二人の恋、かませ犬の嫉妬。ストーリーはいたってシンプル。
歯の浮く独白も古い戯曲ならでは。冒頭からアロンソはオクトラシボ(新しく仕入れた単語なので使ってみたかった)で小恥ずかしい恋のポエムを浪々と。
美男美女カポーはよく見る感じだけれどロドリーゴ君は可愛いらしい。脳みそが。恋に狂った男というよりはただ単に周りの見えていない自己中男。
台詞がいちいちカワイラシイ。イネースの視野に殆ど入っていないのに、ボクを無視して苦しめるツミなヒト的発言を繰り返す。勘違いッぷりが見事。
時代の関係で父親に話を通せば娘の意思には関係なく結婚できるんだから、それでも問題はなさそうだけどね。
カバーに“アロンソとイネースの悲恋の物語は不気味な美しさをたたえる”ってあったのだけれど本編を読んだときには確かに謎の幻影が出てくるけれど不気味ってほどでもないなと??でした。
解説を読んで納得。実際にあった殺人事件とそれに纏わる謎めいた歌を元に想像してみましたっていう作品らしい。上演当時の人々はあの歌の裏には何がってわくわくしながら劇場に足を運んだのだろう。
解説は訳者ではなくて福井千春という人が書いている。作品の背景が分かって面白い。
ロペ・デ・ベガを今まで知らなかったのだけれど、あのセルバンテスに“彼の所為で筆を折った”というようなことを書かせているとか、生涯に八百作書いたと伝わっているとか、実際に約四百残っているとか、一日一作書いたとか。兎に角凄いお話満載。
不倫した奥さんに嫌がらせをした話は、ロドリーゴ君ぽくて納得。
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