『灰色の魂』
第一次大戦下フランス、前線のすぐ近くにありながら戦争から取り残された小さな町で絞殺された美しい少女。
小さな町と事件の周辺の人々のエピソードの集積。
誰が少女を殺したのか、という話でもあるし、戦争の畔で日常を送る人々の話でもあるし、戦争の話でもある。ディスティナという検事の孤独の話でもあるし、すでに死んでいると感じている「私」が死んだ話でもある。
「私」が<事件>を回想しノートに綴るという形式で描かれるので、語られる時間があちこちに飛ぶ。一見、「私」が回想の赴くままに、思いつくままを書いているように見えるが、時間の飛ばし方、挿話の嵌め込み方は計算高い。
全てを読み終えた後、「私」と同じように全ての出来事を知っている者としてもう一度読み返すと、添えられる挿話の別の側面が見え、語られる言葉の別の色が見えてくる。
推理小説(いわゆる本格推理小説のこと)はまず回答編から読んでから冒頭に戻るのが面白いという友人がいる。
崩されるトリックを知った上で、犯人が探偵役にそれを見抜かれぬよう振舞う態度や嘘のつき方を堪能するのだそうだ。
私にはなじめない読み方だが、この本を二度目に読んだときになんとなく彼女の楽しみ方にも分があるような気がした。あくまでも、真似るつもりはないので、気に入ったものだけ二度読み派。
あ、この本はアリバイ崩しとか密室トリックとかそういった系統の狭義のミステリには含まれないです。広義のほう。念のため。
<<フィリップ・クローデル(高橋 啓)『灰色の魂
』みすず書房 2004>>
小さな町と事件の周辺の人々のエピソードの集積。
誰が少女を殺したのか、という話でもあるし、戦争の畔で日常を送る人々の話でもあるし、戦争の話でもある。ディスティナという検事の孤独の話でもあるし、すでに死んでいると感じている「私」が死んだ話でもある。
「私」が<事件>を回想しノートに綴るという形式で描かれるので、語られる時間があちこちに飛ぶ。一見、「私」が回想の赴くままに、思いつくままを書いているように見えるが、時間の飛ばし方、挿話の嵌め込み方は計算高い。
全てを読み終えた後、「私」と同じように全ての出来事を知っている者としてもう一度読み返すと、添えられる挿話の別の側面が見え、語られる言葉の別の色が見えてくる。
推理小説(いわゆる本格推理小説のこと)はまず回答編から読んでから冒頭に戻るのが面白いという友人がいる。
崩されるトリックを知った上で、犯人が探偵役にそれを見抜かれぬよう振舞う態度や嘘のつき方を堪能するのだそうだ。
私にはなじめない読み方だが、この本を二度目に読んだときになんとなく彼女の楽しみ方にも分があるような気がした。あくまでも、真似るつもりはないので、気に入ったものだけ二度読み派。
あ、この本はアリバイ崩しとか密室トリックとかそういった系統の狭義のミステリには含まれないです。広義のほう。念のため。
<<フィリップ・クローデル(高橋 啓)『灰色の魂

